サリドマイドは、妊娠中の女性が服用すると胎児に四肢奇形を含む重大な障害を引き起こすことが知られており、我が国で昭和30年代に多発したサリドマイド胎芽症の被害はサリドマイド禍として記憶されています。その後サリドマイドは医薬品として用いられることはなくなりましたが、1990年代後半に難治性血液疾患である多発性骨髄腫に対する顕著な有用性が確認され、再び注目されることになりました。我が国でも多くの議論と検討がなされ、厳格な安全管理方策(サリドマイド製剤安全管理手順;TERMS)のもとでサリドマイドは多発性骨髄腫の治療薬として使用することが2008年に改めて承認されました。
セルジーン株式会社は、サリドマイドの化学構造を改変した誘導体であるレナリドミド(商品名;レブラミド)を開発し、2010年に再発または難治性の多発性骨髄腫および特定の染色体異常を伴う骨髄異形成症候群の治療薬として製造販売承認を取得しました。
また同社は、続いて同様にサリドマイドの化学構造を改変した誘導体であるポマリドミド(商品名;ポマリスト)を開発し、2015年3月にレナリドミド及びボルテゾミブの治療歴がある再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として製造販売承認を取得しました。
これらの承認に際して規制当局は、レナリドミドとポマリストにも実験動物(妊娠カニクイザルを含む)で胎児に催奇形性が認められたことから、サリドマイドと同様に、製造販売・管理・使用等にあたっては、安全管理方策を適正に遵守することを義務づけました。この安全管理方策が、現在実施されているレブラミド・ポマリスト適正管理手順「RevMate(レブメイト)」です。
RevMate(レブメイト)第三者評価委員会は、このような経緯の中で、胎児のレブラミド並びにポマリストへの曝露を完全に回避することと、レブラミド並びにポマリスト治療を望む患者のアクセスを確保することを同時に満たすよう、我が国の実情に則して継続的に確認、検討を行うとともに、必要な提言を行うことを使命としており、レブラミドの臨床使用の開始とともに発足しました。
RevMate(レブメイト)第三者評価委員会は、規制当局およびセルジーン株式会社から独立した機関として位置づけられ、RevMate(レブメイト)の運用状況の定期的な点検と評価を行い、RevMate(レブメイト)に関わる患者・家族や医師、薬剤師などの医療関係者へのアンケート調査を実施するなどして、RevMate(レブメイト)の問題点や課題を検討し、改善へ向けて具体的な提言を行うこととしています。
RevMate(レブメイト)第三者評価委員会は、サリドマイド福祉センター(いしずえ)の代表者、骨髄腫患者の会の代表者を含め、多様な専門性を持つ医師、薬剤師、弁護士からなる有識者9名によって構成され、オブザーバーとして規制当局(厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課)が参加しています。
これまでの約5年間に18回の委員会を開催し、RevMate(レブメイト)とその運用実態について検討を加え、実施から1年後に患者、医師、薬剤師を対象とした全国アンケート調査を行いました。その結果に基づいて取りまとめた改善に向けての提言はRevMate(レブメイト)の改訂に反映されています。
(以上)